まず、国の合計で並べてみる
データテーブルの「CO₂排出量 (百万t)」は、その国に計上された1年間の二酸化炭素の排出量(土地利用の変化や森林の分は含まない)。百万トンは「100万トン」のこと。「カラム」で「暮らし」を選ぶと、この列と「一人当たりCO₂」が出てくる。順位は「国連加盟国」に絞って数える。
手順
- 世界版のデータテーブルを開き、「国連加盟国」のボタンを押す
- 「カラム」で「暮らし」を選ぶ
- 「CO₂排出量 (百万t)」の列見出しをクリックして、大きい順に並べる
- 次に「一人当たりCO₂ (t)」の列見出しをクリックして、並べ直す
| 順位 | 国 | CO₂排出量 (百万t、2024年) | 人口 |
|---|---|---|---|
| 1 | 🇨🇳 中国 | 13,125 | 14.1億人 |
| 2 | 🇺🇸 アメリカ | 4,632 | 3.4億人 |
| 3 | 🇮🇳 インド | 3,154 | 14.5億人 |
| 4 | 🇷🇺 ロシア | 2,009 | 1.4億人 |
| 5 | 🇯🇵 日本 | 972 | 1.2億人 |
| 6 | 🇮🇷 イラン | 829 | 0.9億人 |
| 7 | 🇮🇩 インドネシア | 812 | 2.8億人 |
| 8 | 🇸🇦 サウジアラビア | 653 | 0.4億人 |
| 9 | 🇰🇷 韓国 | 588 | 0.5億人 |
| 10 | 🇩🇪 ドイツ | 580 | 0.8億人 |
中国が13,125百万トンでダントツ。2位アメリカの2.8倍だ。上位3か国(中国・アメリカ・インド)だけで、CO₂の値がある国連加盟国186か国の合計(約38,000百万トン)の55%を占める。日本は5位で972百万トン、この合計の2.6%。
参考までに、World Bank が公表している世界全体の合計は約39,600百万トン(2024年)。この記事の合計は、国連加盟国193か国のうち値がある186か国を足したもの(香港などの地域は入れていない)で、世界全体とは少し違う。世界全体に対する上位3か国の割合は約53%になる。
ただ、人口の列を見ると気づくことがある。中国とインドは人口が14億人を超えていて、日本の12倍。人が多ければ、合計が大きくなるのは当たり前とも言える。
今度は「一人あたり」で並べ直す
「一人当たりCO₂」は、その国に計上された排出量を人口で割った数字。暮らしに加えて、発電や工場、輸出品を作る活動などの排出も含む。1人が実際に出した量を測った数字ではないことに注意。
| 順位 | 国 | 一人当たりCO₂ (t、2024年) | 人口 |
|---|---|---|---|
| 1 | 🇵🇼 パラオ | 82.8 | 1.8万人 |
| 2 | 🇶🇦 カタール | 47.3 | 286万人 |
| 3 | 🇧🇭 バーレーン | 23.9 | 159万人 |
| 4 | 🇰🇼 クウェート | 23.7 | 490万人 |
| 5 | 🇧🇳 ブルネイ | 20.2 | 46万人 |
| 6 | 🇹🇹 トリニダード・トバゴ | 19.6 | 137万人 |
| 7 | 🇴🇲 オマーン | 18.7 | 528万人 |
| 8 | 🇸🇦 サウジアラビア | 18.5 | 3,530万人 |
| 9 | 🇦🇪 アラブ首長国連邦 | 18.3 | 1,099万人 |
| 10 | 🇦🇺 オーストラリア | 14.1 | 2,720万人 |
| 13 | 🇺🇸 アメリカ | 13.6 | 3.4億人 |
| 19 | 🇨🇳 中国 | 9.3 | 14.1億人 |
| 25 | 🇯🇵 日本 | 7.8 | 1.2億人 |
| 99 | 🇮🇳 インド | 2.2 | 14.5億人 |
顔ぶれがガラッと変わった。1位はパラオ、2位はカタール。そのあとにバーレーン、クウェートなど、石油や天然ガスを産出する中東の国が並ぶ。合計1位の中国は19位、3位のインドは99位まで下がる。
1位のパラオ(人口1.8万人)は、このデータでは一人あたりの値が非常に大きい。人口が少ないため、国全体の排出量を人口で割った値は大きくなりやすい。ただし、なぜこの値になるかは、部門別のデータを調べないとわからない。「人が多い国」の話をするなら、2位のカタールから見るのがいい。
発見 — 「誰が多く出しているか」は、物差しで答えが変わる
| 国 | 合計の順位 | 一人あたりの順位 | 一人あたり (t) |
|---|---|---|---|
| 🇨🇳 中国 | 1位 | 19位 | 9.3 |
| 🇺🇸 アメリカ | 2位 | 13位 | 13.6 |
| 🇮🇳 インド | 3位 | 99位 | 2.2 |
| 🇷🇺 ロシア | 4位 | 12位 | 14.0 |
| 🇯🇵 日本 | 5位 | 25位 | 7.8 |
| 🇩🇪 ドイツ | 10位 | 32位 | 6.9 |
| 🇶🇦 カタール | 34位 | 2位 | 47.3 |
| 🇳🇬 ナイジェリア | 35位 | 146位 | 0.6 |
| 🇪🇹 エチオピア | 90位 | 175位 | 0.15 |
2つの物差しの意味
- 国の合計は「地球全体への影響の大きさ」。大気は1つなので、どの国が多く出しているかが大事。中国・アメリカ・インドは合計に占める割合が大きいので、この3か国の増減は世界全体に大きく影響する
- 一人あたりは「人口の違いをならした、国あたりの排出の大きさ」。アメリカの一人あたりの値はインドの約6倍、カタールはインドの20倍以上。「人口が多いから合計が多い」インドと、「人口のわりに排出が多い」アメリカやカタールは、同じ「多い」でも中身が違う
だから「CO₂を減らすべきなのは誰か」という話し合いでは、合計で見るか、一人あたりで見るかで、責任の重さの見え方が変わる。国際会議でいつも議論になるのは、まさにここだ。
日本はどこ?
日本は合計5位(972百万トン)、一人あたり25位(7.8トン)。一人あたりでは中国(9.3トン)より少なく、ドイツ(6.9トン)より多い。この186か国の合計(約38,000百万トン)を同じ186か国の人口(約81億人)で割ると1人あたり約4.7トンなので、日本はその1.7倍くらいだ。
この数字から読み取れないこと
- どこで出したか、誰のために出したか: この数字は「作った国」に計上される。中国の排出には、外国に輸出する製品を作るときの分も含まれる。「使う国」で数えると、責任の見え方はまた変わる
- 過去の分: この数字は2024年の1年分。CO₂は大気に長く残るので、19世紀から出し続けてきた分の累積(過去の分を足し合わせたもの)で見ると、順位はまた違う
- CO₂だけ、しかも一部: メタンなど他の温室効果ガスは含まない。「LULUCF を除く」というのは、土地利用・土地利用の変化・林業(Land Use, Land-Use Change and Forestry、略して LULUCF)に関係する排出と吸収(森林が吸う分など)を対象外にしているという意味
- 小さな国の極端な値: パラオのように、人口の少ない国は一人あたりの値が極端になりやすい
自分でも確かめてみよう
「国連加盟国」のボタンを押して、「カラム」で「暮らし」を選び、「CO₂排出量 (百万t)」と「一人当たりCO₂ (t)」で交互に並べ替えてみて。合計の上位10か国が、一人あたりでは何位にいるかを追いかけると、この記事の表が再現できる。比較グラフを出すには、比べたい国の行をクリックして選び、表の下に出る「選択した国と地域を比較」で「一人当たりCO₂ (t)」を選ぶ。
データテーブルを開く →出典と計算方法
- CO₂排出量(合計): World Bank EN.GHG.CO2.MT.CE.AR5(Carbon dioxide emissions excluding LULUCF, Mt CO₂e)。2024年値、2026年9月15日取得。元データは EDGAR Community GHG Database(欧州委員会 JRC / IEA)
- 一人あたりCO₂: World Bank EN.GHG.CO2.PC.CE.AR5(t CO₂e per capita)。2024年値。World Bank の掲載値をそのまま使用
- 順位・合計・割合は、国連加盟国193か国のうちCO₂の値がある186か国の中で数えた(値がないのはアンドラ、リヒテンシュタイン、モナコ、モンテネグロ、セルビア、サンマリノ、南スーダンの7か国。香港などの国連非加盟地域は入れていない)。順位は丸める前の元の値で数えた。「約38,000百万トン」はその186か国の合計、「55%」はその合計に対する上位3か国の割合、「約4.7トン」はその合計を同じ186か国の人口(約81億人)で割ったもの
- 世界全体の参考値: World Bank の世界(WLD)集計値 39,632.66百万トン(2024年、2026年9月15日確認)。上位3か国の割合は、この値に対しては約53%
- 人口: World Bank SP.POP.TOTL、2024年値(2026年3月23日取得)
- 定義・出典リンクの確認日: 2026年9月15日
- 確認日: 2026年9月24日(順位・合計・割合を国連加盟国186か国の中で数え直した)
まとめ
CO₂の「合計」では中国・アメリカ・インドで、値がある国連加盟国186か国の合計の55%。「一人あたり」では人口の少ない国と中東の産油国が上位で、中国は19位、インドは99位。同じデータでも、物差しを変えると「誰が多いか」の答えが変わる。
合計は地球への影響の大きさ、一人あたりは人口の違いをならした大きさ。どちらか片方だけでは、公平な話し合いはできない。テーブルで2つの列を並べて、両方を見る癖をつけよう。