まず、アフリカの国を全部足してみる
データテーブルで「すべて」を選び、検索欄に「アフリカ」と入力すると、地域がアフリカの58の国と地域に絞れる(画面の「地域」の列は、東アフリカ・西アフリカなどの細かい区分で表示される)。この58件の面積を全部足すと、こうなる。足し算は筆者が電卓でしたもの。
| かたまり | 面積 (km²) | 内訳 |
|---|---|---|
| アフリカ | 30,316,486 | 「地域」がアフリカの58の国と地域の合計(西サハラや島を含む) |
| アメリカ | 9,833,517 | |
| 中国 | 9,596,961 | |
| インド | 3,287,263 | |
| ヨーロッパ(ロシアを除く) | 6,067,872 | 「地域」がヨーロッパの52の国と地域の合計から、ロシア全体を引いたもの |
| 上の4つの合計 | 28,785,613 | アフリカより 1,530,873 km² 小さい |
アメリカ、中国、インド、ロシアを除くヨーロッパを足しても、アフリカにはまだ153万km²足りない。153万km²は、日本(37.8万km²)の4つ分。それだけ余っても、まだアフリカのほうが広いんだ。
実際に、国の形のままアフリカの上に並べてみよう。地球儀の上でドラッグするのと同じように、形と面積を保ったまま動かして、パズルのように向きも回して詰めたものだ。
形のままだと、すき間とはみ出しが出てしまう。そこで面積だけを四角にして並べると、こうなる。
グリーンランドと比べると
| 面積 (km²) | アフリカとの比 | |
|---|---|---|
| アフリカ | 30,316,486 | 1 |
| 🇬🇱 グリーンランド | 2,166,086 | 約14分の1 |
| 🇷🇺 ロシア | 17,098,246 | 約56% |
| 🇩🇿 アルジェリア(アフリカ最大の国) | 2,381,741 | 約8% |
地図でアフリカと同じくらいに見えるグリーンランドは、実は14分の1。アフリカでいちばん大きい国アルジェリア1つのほうが、グリーンランドより広い。
なぜ地図では小さく見えるのか
「メルカトル図法」という描き方の世界地図では、丸い地球を平らな紙に写すときに、赤道から離れて北や南に行くほど、同じ面積の土地が大きく描かれるのがこの図法の特徴だ。どれくらい大きく描かれるかは、緯度(赤道から北・南へどれくらい離れているかを角度で表したもの)で決まる。赤道での描かれ方を1倍とすると、
- 赤道をまたぐアフリカは、赤道付近の引き伸ばしが小さく、高緯度の地域ほどは大きく描かれない
- 北緯70度付近では、面積が8倍以上に描かれる。グリーンランドの中部がこのあたり
- 北緯50〜70度に広がるロシアやカナダも、場所によって2倍から8倍以上に描かれる
だから地図の上では、グリーンランドがアフリカと同じくらいに、ロシアがアフリカより大きく見える。メルカトル図法は、一定の方角を保って進む航路が地図の上で直線になるので、船の航海のために作られた図法だ。面積を正しく見せるための図法ではないんだ。詳しい説明は W0002 にある。
同じ世界を、2つの図法で描き比べてみよう。オレンジがアフリカ、青がグリーンランドだ。
2026年9月、国連総会が「面積の比が正しい地図」を勧めた
この話は、ちょうどニュースにもなった。2026年9月4日、国連総会で「Correct the map(地図を正す)」という決議が、賛成164、反対1、棄権6で採択された。国どうしの大きさを比べることが大事な場面では、「イコールアース図法」のように面積の比が正しい図法を使おう、と政府や学校、企業に呼びかける内容だ。
イコールアース図法は、2018年に地図の研究者3人が発表した図法で、上の2枚目の地図がそれだ。決議に法的な拘束力はなく、メルカトル図法を禁止するものでもない。方角が正しいメルカトル図法は、航海などではいまも役に立つ。「何を見たいかで、図法を選ぶ」というのが大事なところなんだ。
発見 — 地球儀なら、引き伸ばしは起きない
このサイトの3D地球儀は、地球を丸いまま表示するので、メルカトル図法のような面積の引き伸ばしがない。データテーブルでアフリカの国とアメリカ・中国・インドにチェックを入れて「地球儀で表示」を押すと、色のついた国が丸い地球の上に出る。地球儀を回して、アフリカ大陸と北アメリカ大陸を見比べてみてほしい。
地球儀の上では、国をドラッグして動かすこともできる。アメリカの面積はアフリカ全体の約3分の1、ロシアは約56%。アメリカをつかんでアフリカの近く(地球儀の正面付近)に持ってきて、大きさの違いを比べてみよう。形が違うので、ぴったり収まるとは限らないよ。
この数字から読み取れないこと
- 「アフリカ」の範囲: この記事の3,032万km²は、このサイトで「地域=アフリカ」になっている58の国と地域の合計。マダガスカルなどの島や、帰属に争いのある西サハラを含む。一般に言う「アフリカ大陸の面積」(約3,037万km²)とほぼ同じだが、国別の面積の出典や境界、海外領土の扱いによって少し違う
- 「ヨーロッパ」の範囲: このサイトの「地域=ヨーロッパ」からロシア全体を引いた。ロシアのヨーロッパ部分だけを足すと、もう少し大きくなる。カザフスタンやトルコのように大陸をまたぐ国は、このサイトではアジアに分類されている
- 面積の定義: 国土面積は陸地と内水面(湖や川など)の合計で、領海や EEZ は含まない。出典によって数百km²の違いがある。フランス(643,801km²)のように、海外県を含めた値になっている国もある
- 地球儀の見え方: 丸い地球儀にはメルカトル図法の引き伸ばしはないが、画面の端に近い部分は斜めに見えて小さく写る。比べるときは、正面付近に持ってくるとよい
自分でも確かめてみよう
まず「国連加盟国」のボタンを押してから、データテーブルの検索欄に「アフリカ」と入れて、面積の大きい5か国(アルジェリア、コンゴ民主共和国、スーダン、リビア、チャド)を足してみよう。この5か国だけで、約963万km²になる。58件全部(国連加盟国ではない西サハラや島の地域も含む)の合計を確かめるときは、「すべて」のボタンに戻してね。合計はこの記事の表のとおり。3D地球儀では、アメリカ、中国、インド、アルジェリア、コンゴ民主共和国をハイライトして見比べられる。
3D地球儀で見る → データテーブルを開く →出典と計算方法
- 国・地域の識別: ISO 3166-1(コードの規格。面積の出典ではない)
- 国土面積: RestCountries の area をもとにしたサイトの保存データ(country_database.json、2026年9月15日更新)。面積そのものの基準時点は資料により異なる
- 地域の分け方: このサイトの「地域(region)」の項目。国連の地域区分をもとにしている。「アフリカ」58件、「ヨーロッパ」52件(ロシアを含む)。記事の比較では、ヨーロッパからロシアを除いた51件を合計した。合計はいずれも筆者がテーブルの値を足したもの
- メルカトル図法の説明: USGS Map Projections — A Working Manual (Professional Paper 1395)、PROJ Mercator。緯度による面積の倍率は、地球を球とみなし、赤道を1倍として 1 ÷ cos²(緯度) で計算した、その緯度付近の概数
- 3D地球儀と、記事中の2枚の世界地図の地図データ: Natural Earth(world-atlas の 1:110m 版)。地図は D3 の
geoMercatorとgeoEqualEarthで作図し、アフリカの色分けはサイトの「地域=アフリカ」58件に従った - 国を重ねた図: Natural Earth(world-atlas の 1:50m 版)の国の形を、球面上の回転で動かして作図(形と面積は変わらない)。置き場所と向きは、国どうしの重なりとアフリカの外へのはみ出しが少なくなるように、筆者がコンピューターで探した(探索は粗い地図と格子による近似。完成図で測ると、重なりは面積の1%未満、はみ出しは約2割)。正積方位図法で描画。ヨーロッパの分け方は筆者によるもので、西(フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、オーストリアなど)・東(ポーランド、ウクライナ、ルーマニア、バルカン半島、バルト三国など)・北欧(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク)・イギリスとアイルランド。アイスランドやキプロスなど離れた島、アメリカのハワイは省略。地図データの形から測った面積は、保存データの面積と少し違う
- 面積の比較図: 上の表と同じ保存データの面積から、四角の面積が値に比例するように作図(筆者作成)
- イコールアース図法: Šavrič, B., Patterson, T., Jenny, B. (2018) The Equal Earth map projection, International Journal of Geographical Information Science 33(3)
- 国連総会の決議: UN News「UN tells the world: Stop making Africa look small」、国連総会の第80会期決議一覧(決議 A/RES/80/307、原案 A/80/L.104、2026年9月4日採択、賛成164・反対1・棄権6)
- 定義・出典リンクの確認日: 2026年9月15日(USGS のリンクは2026年9月17日に差し替えて確認。イコールアース図法・国連総会の決議・図は2026年9月24日に確認)
まとめ
アフリカは約3,032万km²。アメリカ、中国、インド、ロシアを除くヨーロッパを全部足しても、まだ日本4つ分余る。グリーンランドの14倍だ。
地図でアフリカが小さく見えるのは、メルカトル図法が北や南を大きく描くから。丸い地球儀や、イコールアース図法のように面積の比が正しい地図なら、その引き伸ばしは起きない。「地図の大きさ」と「本当の大きさ」は別物、というのがこの記事の発見だ。