まず、面積で大きい順に並べてみる
データテーブルの「面積 (km²)」の列見出しをクリックして、大きい順に並べる。「国連加盟国」に絞ると、南極が外れて国だけになる。
手順
- 世界版のデータテーブルを開き、「国連加盟国」のボタンを押す
- 「面積 (km²)」の列見出しをクリックして、大きい順に並べる
| 順位 | 国 | 面積 (km²) | 日本の何倍? |
|---|---|---|---|
| 1 | 🇷🇺 ロシア | 17,098,246 | 45倍 |
| 2 | 🇨🇦 カナダ | 9,984,670 | 26倍 |
| 3 | 🇺🇸 アメリカ | 9,833,517 | 26倍 |
| 4 | 🇨🇳 中国 | 9,596,961 | 25倍 |
| 5 | 🇧🇷 ブラジル | 8,514,877 | 23倍 |
| 6 | 🇦🇺 オーストラリア | 7,688,100 | 20倍 |
| 7 | 🇮🇳 インド | 3,287,263 | 9倍 |
| 8 | 🇦🇷 アルゼンチン | 2,780,400 | 7倍 |
| 9 | 🇰🇿 カザフスタン | 2,724,900 | 7倍 |
| 10 | 🇩🇿 アルジェリア | 2,381,741 | 6倍 |
ロシアは1,710万km²で、ダントツの1位。2位カナダの1.7倍、日本の45倍だ。ここまでは本当。
でも、地図で見えるほどではない
地図の印象と数字を比べてみる。
| 比べる相手 | 面積 (km²) | ロシアは相手の何%? | 地図の印象 |
|---|---|---|---|
| アフリカ(国と地域の合計) | 30,316,486 | 56% | ロシアのほうが大きく見える |
| カナダ + アメリカ | 19,818,187 | 86% | 同じくらいか、ロシアが大きく見える |
| 中国 + インド | 12,884,224 | 133% | ロシアがずっと大きく見える |
| 🇬🇱 グリーンランド | 2,166,086 | 789% | グリーンランドが大きく見える |
ロシアは、アフリカの半分ちょっと(56%)しかない。カナダとアメリカを合わせた面積にも届かない。地図で「ロシア > アフリカ」に見えるのは、目の錯覚ではなく、地図の描き方のせいだ。
発見 — 北にある国ほど、地図で大きく描かれる
「メルカトル図法」で描かれた世界地図では、丸い地球を平らな長方形に写すため、赤道から離れて北や南に行くほど、同じ面積の土地が大きく描かれる。どれくらい大きく描かれるかは緯度(赤道から北・南へどれくらい離れているかを角度で表したもの)で決まる。下の表は、赤道での描かれ方を1倍としたときの、その緯度付近の面積の倍率だ。
| 緯度 | 赤道を基準にした面積の倍率 | この緯度の近くにある場所 |
|---|---|---|
| 0度(赤道) | 1倍 | アフリカ中部、インドネシア |
| 35度 | 約1.5倍 | 東京付近、ロサンゼルス付近 |
| 50度 | 約2.4倍 | ロンドン付近、モスクワより南 |
| 60度 | 約4倍 | サンクトペテルブルク付近、アラスカ南部 |
| 70度 | 約8.5倍 | ロシア北岸、グリーンランド中部 |
同じ大きさの円を、緯度を変えてメルカトル図法の地図に置いてみると、この倍率が目で見える。
ロシアの国土の多くは、北緯50度から70度以上に広がっている。つまり赤道での描かれ方を1倍とすると、場所によって2.4倍から8.5倍以上に大きく描かれている。赤道をまたぐアフリカは、赤道付近の引き伸ばしが小さく、高緯度の地域ほどは大きく描かれない。これが「ロシアがアフリカより大きく見える」正体だ。
逆に、グリーンランドとロシアを、形と面積を保ったまま赤道付近まで動かしてみよう。同じメルカトル図法の地図の上で、こんなに小さくなる。
同じ理由で、カナダ、グリーンランド、北欧、そして南極も、地図では実物よりずっと大きく見える。逆に、赤道近くのブラジル、コンゴ民主共和国、インドネシアは、地図では「損」をしている。
メルカトル図法が悪いわけではない
メルカトル図法は1569年に、船の航海のために作られた図法。一定の方角を保って進む航路が、地図の上で直線になるという便利さがある(羅針盤の方角どおりに線を引ける)。面積を正しく描くことは、最初から目的にしていない。地図には「何を正しく描くか」の得意・不得意があって、面積を正しく描きたいなら、モルワイデ図法やイコールアース図法など、面積の比が正しく描ける別の図法を使う。2026年9月には国連総会が、大きさを比べる場面ではこうした図法を使おうと呼びかける決議を採択した(→ W0003 で2つの図法の地図を見比べられる)。
この数字から読み取れないこと
- 「大きい」の中身: 面積が広くても、人が住める土地は別。ロシアの国土の多くは永久凍土や寒冷地で、人口は日本の1.2倍しかない(→ 人口密度は W0004)
- 面積の定義: 国土面積は陸地と内水面(湖や川など)の合計。領海や EEZ は含まない(→ W0001)。クリミアなど帰属に争いのある地域の扱いで、出典によって数字が変わる。このサイトは RestCountries をもとにした保存データを使っている
- 倍率の意味: 表の倍率は、赤道での描かれ方を1倍とした、その緯度付近の値。国全体に1つの倍率がかかるわけではなく、同じ国の中でも南と北で違う
- 地図の種類: よく見る世界地図がすべてメルカトル図法とは限らない。別の図法の地図では、見え方も違う
自分でも確かめてみよう
3D地球儀でロシア、アフリカの国々、カナダ、アメリカをハイライトして、地球儀を回してみて。地球儀は丸いまま表示するので、メルカトル図法のような引き伸ばしがない。ロシアの面積はアフリカの約56%。ロシアをドラッグしてアフリカの近く(地球儀の正面付近)に持ってきて、大きさの違いを見比べてみよう。形が違うので、ぴったり収まるとは限らないよ。
3D地球儀で見る → データテーブルを開く →出典と計算方法
- 国・地域の識別: ISO 3166-1(コードの規格。面積の出典ではない)
- 国土面積: RestCountries の area をもとにしたサイトの保存データ(country_database.json、2026年9月15日更新)。順位は国連加盟国193か国の中で数えた
- 「アフリカ」の合計は、このサイトで「地域=アフリカ」の58の国と地域の面積を筆者が足したもの(→ W0003)
- 「日本の何倍」「相手の何%」は、テーブルの値から筆者が計算し、整数に丸めた
- 図の地図データ: Natural Earth(world-atlas)。ロシアを重ねた図は 1:50m 版を正積方位図法で、ほかの2枚は 1:110m 版をメルカトル図法(北緯80度〜南緯60度)で描画。国の移動は球面上の回転で行い、形と面積は変わらない(W0003 と同じ方法)。地図データの形から測った面積は、保存データの面積と少し違う
- 国連総会の決議: UN News「UN tells the world: Stop making Africa look small」、国連総会の第80会期決議一覧(決議 A/RES/80/307、原案 A/80/L.104、2026年9月4日採択)
- 円の図: 地球を球とみなし、中心角5度(半径約560km)の円を各緯度に置いた。倍率は 1 ÷ cos²(緯度)
- メルカトル図法の説明: USGS Map Projections — A Working Manual (Professional Paper 1395)、PROJ Mercator。緯度による面積の倍率は、地球を球とみなし、赤道を1倍として 1 ÷ cos²(緯度) で計算した、その緯度付近の概数
- 定義・出典リンクの確認日: 2026年9月15日(USGS のリンクは2026年9月17日に差し替えて確認。国連総会の決議と図は2026年9月24日に確認)
まとめ
ロシアは1,710万km²で世界最大。でもアフリカの56%、カナダ+アメリカの86%で、地図で見えるほど大きくはない。北にある国ほどメルカトル図法で大きく描かれるからだ。
地図を見るときは「この国はどの緯度にあるか」を思い出すと、本当の大きさが見えてくる。確かめたくなったら、丸い地球儀で見るのがいちばん早い。